間違い

怪談

 私がまだ十代から二十代にかけての頃は、それなりに夜遊びが盛んな時期だったので、よく友人と夜のドライブに出掛けたりしていました。

 大して行き先も無くフラフラとしていただけなんですが、その当時はそれが不思議と楽しく感じたもので、今にしてみればそれが若さと言うものだったのかも知れません。

 そして私とその友人なんですが、困った事に揃いも揃って大の心霊好きだったので、その時もおもむろに友人が話し出したんですよね。

 とあるハイキングコースを2人の若い女性が歩いていて、その日は天候も良く高台から遠くの景色もハッキリと眺められたし、近くを流れる小川のせせらぎや野鳥のさえずり等も心地よく、俗に言う絶好のハイキング日和でした。

 しかし、あまりにもコンディションが良過ぎたので、行きと帰りの時間配分と言うものを少々読み違えてしまい、そのままだと中途半端なところで夕刻を迎えてしまうので2人で対策を考えました。

 話し合った結果、コース途中でぶつかる県道に出たら進路を変え、そこから麓の駅まで行こうってなったんですよね。

 暫く歩いていると、どうやらその県道に無事に出る事ができて、またタイミング良く遠目には1台の車のライトが見える。

 状況が状況なのでその車に手を上げ停まってもらい、最寄りのバス停とかの場所を聞こうってなったんですよね。

 近づいてきた車は、手を上げると停まってくれ、事情を説明すると有り難い事に最寄りの駅まで乗せてくれると言う。乗車しているのは中年の男性1人と4、5歳の女の子が1人。

 

 2人は後部座席に座ると、有り難さや嬉しさと言う感情から、当然の様に男性や助手席の女の子に話しかけた。

 すると男性の方は言葉少なではあるが返事をするのだが、女の子に話しを振っても、若干うつむいたまま終始無言だったそうなんです。

 しかし、その時はそれがそこまで気になる様な事はなく、「何かイタズラしてパパに怒られちゃったタイミングなのかな?」とか内心思った程度だったんですよね。

 そうこうしている内に車は駅に着き、男性と女の子に御礼して、その日は2人とも無事に帰宅できました。

 

 ところが……後日、2人は大変な事に気付き、とてつもない恐怖を感じる事になります。

 以下、私と友人の実際の会話にて。

友人:「なぁ、お前もう気付いてるか?」

私:「…な、何が?微妙に結末は怖いけど、何も分からないんだけど。」

友人:「そうかよ。その2人が後で知ったってのはさ。その時車を運転していた男ってのが、実は……。」

私:「う、うん…。」

友人:「宮●駿だった!!!」

私:「…?……?」

友人:「…?…どうよ?」

私:「み、宮●駿って…あのジブリの?」

友人:「……あぁ~間違えた!誘拐犯の方だった~。」

私:「…あ、あのよ、そう言うオチでビビらす話で、そこの所間違えるってどうなのよ?怪談を語ってる者としてさぁ。」

友人:「ま、まぁな。まぁ、あれだよ……すまんな。」

 なんて言う会話をして、逆にその時の車内は盛り上がっていた。

 そしてその時のタイミングで、我々の車は神奈川県小坪市にある有名なお化けトンネルに差し掛かるところでした。

 

 しかし車がトンネルに入るや否や、今まで軽快に鳴っていた音楽が急に何だか判別できない程に唸りだした。

 その現象は全部で3つあるトンネルを全て通過するまで続いたが、通過し終わると、また何事も無かったかの様に軽快に音楽が鳴り出したんですよね…。

 

 その当時の車用のCDコンポと言うのは、けっこうなアップダウンの踏切等で、振動により曲が瞬間的に途切れる、通称音飛びと言われる現象が割と頻繁にありました。

 けれどもその時、車内でお気に入りの音楽を奏でていたのは、他でもないカセットテープだったんですよね。

 トンネルと言うものの構造を考えると、ラジオがそうなるのは理解出来る。

 しかし音飛びの可能性があるCDでもなく、トンネル内の道路も平坦ではありました……。

 

 恐らく、その様な場所その様な話しをしていたからだと言う事になり、そして我々2人共に大の心霊好きで、大の怖がりと言う事もあって、その日は割とすぐ帰宅の途に着きました…。

 近年、TVやインターネット等のニュースを見ても、凄惨で残酷な事件は後を絶たない。

 いじめによる自殺や殺人、虐待、親が子供に手をかけ子供が親を切りつける様ないたたまれない事件ばかりである。

 また、話の裏側で目立たなく意外と深刻なのは、加害者側の近親の方達だ。そう言った人達は学校、職場、住んでいる所さえ変えなくてはならなくなるケースがほとんどだと言う…。

 

 では何故、そうなってしまうのか?どうしてその様な事件は起こるのか?

 

 それは、人の心の隙間である。

 

 生まれながらの家庭環境で幼少期、青年期と過ごしていき、人生のどこかで人の心にヒビが入る。

 最初はほんの小さなヒビだが、それがやがて広がり、底の見えない谷となり…暗闇が心に広がる。

 大事なのは、その最初の小さな心の隙間の内に家族友人、隣にいる人々が愛情思いやりで心の隙間を埋めてあげる事。

 

 即ち、そう言った人と環境が大事。

 

 誰しも生まれたその瞬間から、他人を殺めようと思う人などいない。

 その人生の過程があるから、間違いは起きる。

 

 

 

 自分も気付いたその時から、まず隣にいる人達に愛情と思いやりを持って接していきたいと思う。

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